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『飾り毛布』とは、客船の各船室にある毛布を1枚を使い、花や自然の風景、動物などの形に折ってベッドに飾る、100年以上の歴史を持つ日本客船独自の伝統的サービスです。 そのサービスをホテルでご覧いただければと思います。
毛布の数に限りがございますが、ご要望がございましたら支配人までお気軽にお問合せください。
毛布を、「植物」や「動物」、「自然の風景」、「日本伝統の形象」など、様々な形に折って客室のベッドの上に飾る「花毛布」は、日本船固有の伝統のサービスである。 長旅の乗船客の心を和ませ、船室に華やかさを添えるために、客室係はベッドメーキングを済ませたあと、毎回毛布を違う形に折ってベッドに置いた。
「花毛布」の最も古い記録は、1901年発行の『郵船図会』で紹介された日本郵船の「春日丸」船室のイラストであり、このことから「花毛布」のサービスは、1900年頃にはすでに始まっていたと推測される。 1908年に運航が開始された青函連絡船にも、日本郵船から旧国鉄に移った船員により同様のサービスが伝えられ、「飾り毛布」とも呼ばれるようになった。 1920年代から30年代にかけての客船全盛期には、外洋航路と国内航路の多くの船上で「花毛布」が盛んに折られていた。
「花毛布」には、「松竹梅」「菊水」「日の出」「双子岩」「富士山」などの日本の伝統的な形象や、「桜」「兜」「牡丹」「水芭蕉」などの季節感を表すものが多い。 海に関連する「帆掛け舟」「波」「貝」、また「孔雀」「蝶」「羊」「マンタ」「蛇」などの生き物の表現もある。 これまでの調査では、タイトルがついているものだけで40種類以上、タイトルが特についていないものやバリエーションを含めると、70種類以上あることがわかっている。 毛布の模様や縁取り、会社のシンボルマークをうまく使った形もある。 「扇型」「花型」「重ね型」「巻き型」「山型」「角型」と、折り方も多様で、「折り紙」という伝統を持つ日本人ならではの器用さを生かした、日本独自の「おもてなし」の表現であると言えよう。
毛布の折り方は、後輩船員が先輩船員の折る様子を見ながら習得し、自らの創意と工夫で形を発展させるという方法で代々継承されてきた。 熟練ともなると、わずか1~2分で端正な形を作ることができる。また、今後の継承が課題と言える文化である。
(掲載は五十音順)
上杉 恵美(明海大学 ホスピタリティ・ツーリズム学部准教授)
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